東尾修
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試合後にファンにあいさつをする阪神の矢野監督(中央) (c)朝日新聞社
試合後にファンにあいさつをする阪神の矢野監督(中央) (c)朝日新聞社

 東京五輪でレギュラーシーズン中断となるプロ野球西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、再開後の注目ポイントを解説する。

【写真】試合後にファンにあいさつをする阪神の矢野監督

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 プロ野球は7月14日、オールスター前の試合を終えた。東京五輪期間中はエキシビションマッチこそ行われるが、レギュラーシーズンは中断期間に入る。後半戦スタートは8月13日。約1カ月の期間がどう影響するかなんて、誰にもわからない。

 セ・リーグは阪神が2008年以来、13年ぶりの首位で折り返しとなった。阪神を2位の巨人が2ゲーム差で追う展開。3位のヤクルトもこの日の巨人戦に勝利し、2位の巨人に0.5ゲーム差、首位・阪神まで2.5ゲーム差と絶好の位置にいる。4位の中日は3位と10ゲーム差。はっきり言って、優勝争いは上位3チームに絞られた。

 その中でヤクルトはおもしろい。東京五輪代表に選ばれた村上宗隆、山田哲人の2人を軸に、外国人のサンタナ、オスナが非常にいい形で順応している。本拠地の神宮球場は、どうしても打力が強くないと勝てない。ヤクルトが優勝争いに絡む時は、打線が機能している。その意味で、台風の目となりそうだ。

 阪神はドラフト1位の佐藤輝明がこの調整期間で再び勢いを取り戻すことができるかどうか。巨人は菅野智之が復活しないと苦しくなる。原辰徳監督のチーム全体の調整マネジメントにも注目したい。

 パ・リーグのほうがおもしろい。オリックスが14年以来、7年ぶりの首位ターンとなったが、2位・楽天と1.5ゲーム差、3位ロッテと2.5ゲーム差、4年連続日本一のソフトバンクと4ゲーム差。4チームが4ゲーム差以内にいる。

 ソフトバンクは故障やキューバ勢の五輪予選など、入れ代わり立ち代わり主力が抜けたが、それでも勝率5割。主力に30歳代が増えたが、ここぞの集中力や経験値は他球団の追随を許さない。1カ月間隔が空いても、シーズンからクライマックスシリーズへの調整などを何度も経験している集団だけに、大崩れはしないだろう。ソフトバンクが勢いを取り戻せば、抜け出す1番手とみる。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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