同社製品部の原康太郎さんによると、アイススラリーは年々認知されてきているという。

「アイススラリーは微細な氷と液体が混ざり合っている流動性のある飲料のことで、水分補給と体の冷却が同時にできるという特徴があります。固形の氷に比べ、アイススラリーの氷は微細なため周囲との接触面積が大きくなり、熱を奪いやすく、より効果的に物を冷やすことができます。加えて、通常の氷のようにかみ砕いて飲む必要がなく、そのまま口から胃、消化管をゆっくり通るため、冷たさが続くのです」

 どういったタイミングで飲むのが有効なのだろうか。

「運動前はもちろん日常の活動前、またはその間に取る『プレクーリング』という方法がお勧めです。活動前に飲むことで深部体温を下げることを目的としています。汗をかきにくい高齢者や汗をかく機能が成人より未熟な子どもには水分補給だけでなくアイススラリーを併用することが有効です」(原さん)

 水分摂取の注意点を前出の三宅さんに聞くと、「基本はこまめに飲むということ。効果は同じですから、1リットルだったら200ミリリットルを5回に分けて飲む。そのほうが胃への負担は和らぎます。ただ、心不全や腎不全、高血圧症の人は取りすぎると血圧が上がったり、心臓の負担になったり、体がむくんだりしますから、摂取量には注意が必要です」

 毎日、決まった時間に血圧や心拍数、体重測定などをして、日々の体調の変化に敏感になることも大切だという。コロナ禍で外出もめっきり減り、日光に当たる時間が少ない高齢者も多いだろう。

「暑さ慣れしていない高齢者が、たとえばコロナワクチンの接種のためにと、久しぶりに外出する日などは要注意です」(三宅さん)

 猛暑到来の前に、熱中症対策を考えておきたい。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年7月23日号