タサン志麻さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・高野楓菜)
タサン志麻さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・高野楓菜)
タサン志麻 (撮影/写真部・高野楓菜)
タサン志麻 (撮影/写真部・高野楓菜)

 フランスの三つ星レストランを経験し、現在は「伝説の家政婦」としてメディアに引っ張りだこのタサン志麻さん。作家・林真理子さんとの対談では、ご結婚後に出会った家政婦という天職のことなど、伺いました。

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林:ご主人と1時間も2時間も会話しながらごはん食べてるって本当ですか。

志麻:はい。

林:日本人の夫とそれは無理かも(笑)。そんなに長く、どんなことをしゃべるんですか。

志麻:何でも話します。彼は自分の考えがちゃんとある人。私は日本人的な習慣が染みついていて、本当はそう思っていないことでも適当に「そうだよね」って同意しちゃうことがあるんです。でも、彼はそういうことは絶対しない。自分の意見をはっきり言ってくれるので、そこから話が広がって、会話が絶えることがないんです。

林:日本だと、夜、旦那さんはソファでビールを飲みながらテレビを見てて、奥さんが料理をテーブルに運ぶと、旦那さんが黙って食べ始めるって感じですよね。

志麻:日本って、食べることよりつくるほうにスポットが当たりがちですよね。でも、料理をつくる時間より、食べる時間のほうが大切だと私は思います。だから、私も仕事が忙しいときは、思い切り手を抜きますよ。夫につくってもらったり、スーパーやコンビニでお総菜を買ってきちゃったり。

林:へー、そうなんですか。

志麻:「意外」って言われます。「志麻さんの家では毎日、立派な食事してるのかと思った」って。でも、忙しいときに料理に時間をいっぱいかけて、食べるのは一瞬じゃもったいない。限られた時間は、豪華な料理をつくることより、家族でゆっくり話しながら食卓を囲むことに使いたくて。

林:会話はフランス語ですか。

志麻:夫婦では日本語もフランス語も使って会話をしています。子どもたちとは、私は日本語、彼はフランス語で接しています。

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