※写真はイメージです (GettyImages)
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(週刊朝日2021年7月16日号より)
(週刊朝日2021年7月16日号より)

 孤独死の不安は、中高年や高齢者だけでない。「見守りサービス」を利用する若者が増えている。気軽に相談できる相手が身近におらず、助けを必要とする若者は少なくない。

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 人気俳優の深田恭子さん(38)が5月、突然の休養を発表。主演予定のドラマを降板するなど、世間を驚かせたのは記憶に新しい。医師から「適応障害」と診断されたのが理由だった。

「完璧主義のところがあり、能力と理想の差に思い悩むことが多かった」

 九州地方に住む20代女性Aさんも、この適応障害の経験を持つ。

 小さいころから“優等生”だったというAさんは、「他人に頼るのが苦手」。大学卒業後に公務員となり、安定した職に就いたことに両親も喜んだ。職場では明るく振る舞っていたが、仕事の悩みをどんどん抱え込んでいった。適応障害に陥り、休職を繰り返していたが結局、数年で退職した。

 人付き合いがほとんどなくなったAさん。「『死にたい』と思うなど精神状態がひどくなり、自分が何をするかわからない」。そんな思いを募らせ、見守りサービスを利用するようになった。「定期的に送られてくる安否確認のメッセージがしだいに“心の安定剤”となった」という。

 見守りサービスとは、NPO法人「エンリッチ」(東京都江戸川区)が無料で提供するLINEアプリ。安否確認メッセージが届いたら、それに応答するだけというシンプルなものだ。安否確認は好きな時間帯を設定でき、1~3日ごとに送ってもらえる。

 かりに安否確認に応答しないと、24時間後に再確認がいく。それでも応答しない場合、本人に直接電話し、応答がなければ事前登録した近親者や社会福祉関係者らの緊急連絡先に伝えてくれる仕組みだ。

 九州地方の別の20代女性Bさんも同じサービスを利用する。

 家庭内不和によって児童養護施設で育った。高校を卒業し、現在はアルバイトで暮らす。唯一の家族だった母親も精神疾患で施設に入所してしまい、身寄りがいなくなってしまった。「誰からも心配してもらえないという気持ちが少しずつ変わり、メッセージに安心感を得ている」(Bさん)

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