「人生経験を重ねた上でお互いを選び、一緒になっている分、より愛情が強く、深い付き合いができていると思います。若いころの好きと欲望がごっちゃになった恋愛も悪くないのですが、相手を人間として好きになれるのは晩婚の良さだと感じています」

 野村さんは、親に言われたことが結婚に向き合う契機になったが、中年以上の独身の子どもを持つ親にできることはないのだろうか?

「基本的に口を出さないほうがいいです。親も年老いてくると、支えてくれる子どもを手元に置いておきたがる傾向にありますが、本当に子どもの結婚を望むなら、親も自立が必要。あと、親が結婚相談所の費用を出している男性は、ほぼほぼ結婚できません。自分の婚活なのに、いい年して親にお金を出してもらっていてうまくいくはずがありません」(鎌田さん)

 野村さんは、婚活中に両親から口を出されたことはないが、親戚に見合いを勧められたときは困ったと振り返る。

「叔父に『せっかく見つけてやったんだから絶対に会え』と言われたのですが、全く合わなさそうだったのでお断りしようとしたらえらく怒られて大変でした」(野村さん)

 一方、大宮さんは“使えるものは親でも使え”という考えだ。

「自分のことをよく知ってくれているのは親。最終的に決めるのが自分であれば、親のつながりを利用してもいいのでは。ただし、親は子どもが選んだ相手に対して、学歴や会社などに口を出すべきではありません。昔と今では、いい大学やいい会社は変わっています。自分の古い価値観を押し付けないようにしましょう」(大宮さん)

 結婚したい、という気持ちさえあれば、年齢は関係ない。

「晩婚は老舗企業同士の対等合併のようなもの。若いころは自分中心で、相手のことを見ているようで見ていなかった。でも年齢を重ねると、相手には相手の考えや世界があることもわかる。だから、相手への理解も速いし、理解できないことへの理解もできます。そういうところは晩婚ならではの良さですね」(同)

 鎌田さんは、結婚したくないならしなくてもいいと思っている。

「もし、してみたいと思う気持ちがあるなら、一度は挑戦してもいいのではないでしょうか。必要なのは容姿や条件、恋愛する時間ではなく、絶対に諦めないという心と、期限を決めてそこに自分のエネルギーと情熱を注げるかどうかなんです」

(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2021年7月16日号