その結果、がん患者の抗体保有率は0.4%、がん患者以外では0.42%で両者に差がないことが明らかになった。一方で、抗体の量はがん患者のほうが低かった。島田医師が説明する。

「感染リスクが高いと考えられていたがん患者さんですが、実際は無症候性感染の頻度は一般の人と変わりませんでした。ただ、がん患者さんの抗体の量は健康な人より少なく、がんや抗がん剤治療が抗体の産生に影響している可能性はあります」

 コロナ禍のがん診療。がん患者が新型コロナに感染すると重症化しやすいことは、海外の研究で示されているものの、がんより心臓病や糖尿病、高血圧のほうが重症化リスクは高く、がんだけが特別ではないという。

 感染が不安だからといって検診や診察を受けないことこそ、大きなリスクになり得る。感染対策をしっかり取りつつ必要な時期に必要な検診、診察を受けることが大事だ。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2021年7月16日号より抜粋