──ホラー映画ということで、これまで演じた役とは違った難しさはありましたか?

 セリフ以外で表現するシーンがとても多かったことですね。つねにうめき声をあげながら全身を痙攣させて、何度も筋肉痛になりました。勉強になったのは、監督が足の裏の表現にこだわって、いろんな角度から何度も撮り直すんです。体の一部を映すシーンにそこまでこだわるというのは、これまで経験したことがなかった。とても新鮮でした。

──釈さんは、2019年に自身のブログで、過去にパニック障害だったことを告白しています。海外の慣れない土地に一人で行き、初めて会う人と外国語で仕事をする。しかもホラー映画。過去の病気についての不安はなかったんですか?

 その不安はまったくなかったですね。2019年にブログに書いた時も、私の中では「あれ、今まで言ってなかったけ?」という感覚だったんです。その前には、エッセイなどで過去に摂食障害などで苦しんで、それを乗り越えて今があるということを書いていましたから。

 ただ、デビューした頃のイメージは不思議キャラで天真爛漫だったので、「20代の時にそんな闇の部分があったのか」と驚かれた方が多かったのかもしれませんね。

──パニック障害の症状はどのようなものだったんですか?

 はじめて過呼吸になったのが大学生の時で、救急車で運ばれました。死ぬような苦しみだったのに、検査してもどこにも異常がありませんでした。それで心療内科に行ったのですが、その時と芸能界デビューが重なったんです。

 いま考えると、パニック障害の症状があるのに人前に出る仕事をするなんておかしいですよね。でも、当時の私は自己肯定感が低くて、「誰かに認められたい」という気持ちが強かったんですよね。

 幸い、仕事は順調にいただくようになったのですが、過呼吸や摂食障害はひどくなる一方で、20代はずっと「闇」の状態でした。もがいても、もがいても、出口がないという感じでした。

──症状が改善するきっかけはあったんですか?

次のページ
「自分で自分のことを幸せにしてあげよう」