──達成感がある?

 達成感と同時に、物足りなさもあるんですよね。でも、政治の変革のためには一議員としてではなくて、チーム戦が必要。そのために議員は自分の仕事をしながら時を待つ、先輩方のフェードアウトを待つんですよね。本当なら現職も含めた予備選導入と任期制限で、人の入れ替えを制度化すべきだと思い提案もしてきましたが、実現にはまだ時間がかかりそうです。永田町という狭い世界で、自分では左右できない要素がめちゃめちゃ多い中で機が熟すのを待つには、人生は短すぎる。だからいったん外に出ようと。

 同じような問題意識を持っている方はビジネスパーソンにもNPOにも法律家にもたくさんいる。そういう人たちとつながって、外から政治に一石を投じて動かしたいと思いました。どの仕事をするにしても政治と無関係ではいられませんよね。

──「いったん出る」、ということは、今回政界を引退しても、またいつか戻ってくる可能性があるということですか?

 あるとかないとか、今の気持ちで未来を縛る必要はないと思っています。そもそも引退という言葉がすごく古くてぴんとこない。私自身は一回も使っていません。政治家を続けて時を待つよりも、政界の外と中の出入りを自由にすることで、中から動かせないことを、外から推し進められるかもしれない。今は外に出たほうがやれることがあると思ったんです。

──具体的には何を?

 まだ任期が残っているので。ただ、役者や音楽家、芸術家の自由な創造活動をサポートして、閉塞感のある日本社会の自由を支えたいですね。自由と民主と法の支配を根付かせたいという思いは変わらないです。

──多くの実績を上げてきた山尾さんが政界を去ることに、特に女性で残念に思う人は多いのでは。

 期間限定政治家というキャリアがあれば、女性はもっと政治に入っていけると思うんですね。私は落下傘候補だったので、選挙の時、ここに骨を埋める覚悟か、と聞かれて、「はい」って言いながらもものすごく背徳感があった。骨を埋めないと政治家を始められないとなると、ほとんどの女性は他の職業を選ばざるを得ない。専門スキルのある女性が政治家に期間限定で取り組めるようなモデルになれたらいい。

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