帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「講演は楽しい」。

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【場の共有】ポイント
(1)執筆と講演はいつの間にか大好きな仕事になった
(2)講演では生命のエネルギーが交流するのを感じる
(3)講演のダイナミズムが素晴らしくてやめられない

 私は日本ホリスティック医学協会の会長を18年間つとめましたが、その間にどんな貢献をしたかというと、心もとないところがあります。ただ、ホリスティック医学の普及のために本を書くことと、講演することだけは続けてきました。本は多いときで1年に12冊以上出しました。講演は年100回ぐらいこなしたことがあります。

 この本の執筆と講演は、いつの間にか私にとって大好きな仕事になりました。特に講演には執筆にないやりがいがあります。

 もともと、人前で話すことなど嫌いで、大の苦手だったのです。私が医師を目指したのは、家に往診に来るお医者さんが、まるで話をしない無愛想な人だったからです。実家が小売商をしていて、人と話せなくては仕事ができないなと悲観していたところに、そのお医者さんを見て、これなら自分でもできそうだと思いました(本当は医師も話すことが大事ですが)。

 ですから、最初の頃はひどかったですね。講演に来てくれた同僚の看護師に「先生の話は『ああ』とか『うう』ばかりで聴いていられないわよ」と酷評されたものです。

 ところが、講演が好きになると「好きこそ物の上手なれ」で慣れてきて、スムーズに話ができるようになりました。最近では講演の内容を事前に考えなくても、その場の雰囲気で決められた時間通りに話せるように“進化”しました(笑)。

 講演が大好きなのは、何といっても会場にいる皆さんと私の間で、生命のエネルギーが交流するのをひしひしと感じられるからです。場を共有するというのは、そういうことなのでしょう。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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