それに加えて、ロンドンオリンピックに女子ケイリンが採用されたのをきっかけに、日本の女子自転車選手を育てるべく、ガールズケイリンを始めることにした。この時は、橋本聖子さんの提言を受けて協力したのである。

 それから日本の女子選手はどんどん増え、今や世界的に活躍できるまでに育っている。

 両方とも最初から関わっていたので、オリパラは少なくとも自転車競技だけは見に行くつもりだった。日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパでは、自転車選手の人気はすばらしく、スターも多いので、私も彼らの走りを見るのが楽しみだったし、自転車や女子選手のファッショナブルな服装や、競技の数々に飽きることがない。

 しかし、今やその興味もすっかり薄れてしまった。コロナによってあぶり出されたこの国の体質にほとほと落胆させられたのだ。

 今日(六月二十三日)は沖縄戦の慰霊の日。菅首相の姿はなかった。

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『明日死んでもいいための44のレッスン』ほか多数

週刊朝日  2021年7月9日号

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下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中

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