※写真はイメージです (GettyImages)
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【ランキング表】自治体のデジタル化ランキング100はこちら

 各地で進む新型コロナウイルスのワクチン接種。予約をしようと、自治体に電話するもなかなかつながらず、苦々しい思いをする人が続出した。

 予約が殺到したためだが、地域によってはインターネットを通じてスイスイと完了。行政手続きの「デジタル化」の重要性が改めて認識された。現場では「よりスピード感覚と正確性が問われている」(千葉県流山市の広報担当)だけに、超高齢化社会を迎え、自治体のデジタル対応は住民サービスの良し悪しを左右するようになってきた。

 そこで本誌編集部は、全国1747ある市区町村を対象に、デジタル化の進み具合などを独自集計した。

 総務省の「地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果」をもとに、【1】ホームページなどでの情報公開の状況(項目数23)【2】申請・届け出など行政手続きオンライン化の進捗(しんちょく)状況(同35)【3】セキュリティー対策(同4)の3分野を抽出。各項目の対応に「○印」を付けたものや「実施」「検討」「予定」なども1ポイントとした。満点で62ポイントになる。

 1位は54ポイントの練馬区(東京都)と大阪市。練馬区は情報化基本計画に関して「新型コロナの感染拡大前と後で整備したものがある。効率的な区政運営がデジタル化によってできる」(情報政策課)。

 保育園を探す親のために、LINEから地図で半径2キロ以内の園が確認でき、アレルギー対応の有無もわかる。最初の申請書に氏名や住所を記入すれば、ほかの申請書には記入がいらないシステムも導入した。

 3位は流山市(千葉県)など。高齢者ら“IT弱者”に配慮しつつ、広報誌のデジタル化で「若者の利用も働きかけている」(流山市広報担当)。

 デジタル推進課を設置した鯖江市(福井県)が6位、美濃加茂市(岐阜県)が11位となるなど、地方都市も上位に顔を出した。

 自治体のデジタル化として思い浮かぶのが、「マイナンバーカード」。12ケタの番号が割り振られたカードで、社会保障や税など個人情報を管理するものだ。6月1日時点で、人口あたりの交付枚数率が40%以上なのは100自治体。1位が粟島浦村(新潟県)75.9%。姫島村(大分県)66.4%、加賀市(石川県)66.0%などと続き、地方勢が多い。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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