先日発売となったライブのBlu−rayを観て、「とんでもなく画期的で新しく、革命的な存在だった」とかつて秋元康さんが絶賛していたのを思い出した。
決して見ることはできないだろうと思っていた生身のメロディと歓声。
「文化の継承っていうのかな、過去を繋いで次のものを作っていく。その連続性に自分はいるんです」と村井さんが語り、ライブ終盤でユーミンは客席にこう話しかけた。
「スタジオの待合室から見た景色。川が流れていてその上をモノレールが通って。海に近いのでその海の生ぬるいような、ちょっと淀んだ風が今もここに漂っているような気がします。自分のレコーディングが終わると次のアーティストたちの談笑とギターのチューニング音が混ざって聴こえて、それがこういう曲たちになったんだなって。(アルファのアーティストは)全員に共通するカラーがある。どこか街の明かりが見えるような、埃が舞っているのが見えるような。それがアルファだったのかもしれないし、あの時代だったのかもしれません」
当時を振り返るユーミンのスピーチに続き、村井さんがYMOの細野さん、高橋幸宏さんが待つステージに登場、自身でラテン・ビートとジャズコードでアレンジした新しい『ライディーン』を演奏し、僕はどこまでも心地よく身を揺らした。
延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞
※週刊朝日 2021年6月25日号