『珈琲貴族エジンバラ』。私がよく行く新宿三丁目の喫茶店。『貴族ブレンド』1杯800円。貴族な値段です。焼酎貴族トライアングルの700ml瓶より高い。貴族間にも格差があるのですね。繁華街という土地柄か、隣席でマッチングアプリのカップルが自己紹介してたり、勧誘・交渉・謝罪・恫喝……様々な人間模様が繰り広げられる貴族空間、エジンバラ。『五輪貴族』のロビー外交もぜひここで。待ってるよ、コーツさん!

『池田貴族』。イカ天でデビューしたロックミュージシャン。心霊研究家としても活躍しましたが、1999年に36歳の若さで早世。「古畑任三郎」のクイズ王の回に司会役で出演されてましたね。当時、私は18歳。大学受験に全部不合格しボンヤリとした不安の中、実家の居間のテレビの前で「あ、池田貴族」と呟いた記憶が微かにあります。ちなみに池田貴族さんのバンド名は「remote(リモート)」。令和の時代が見えていたのでしょうか。クーベルタンによろしく、池田さん!

 ネットで『貴族』で検索すると1ページ目はほとんど居酒屋『鳥貴族』の情報なのが、日本っぽくていい。個人的には五輪開催より、早く『鳥貴族』で酒を飲めるようにして頂きたいものです。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

週刊朝日  2021年6月25日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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