加藤:そうなんです。

林:脚本は、小説とまた違いますよね。

加藤:ぜんぜん違いますね。人間の言葉のやりとりだけで物語を展開していくので、映像と違ってカメラのアングルに頼れない。でも、それがおもしろかったです。セリフと描写を考え直す機会になりましたね。ナチュラルに会話しているようで少し違和感があるようなセリフも舞台だと必要になってくるんですよね。うまい役者さんだと説明ゼリフもウソくさくなく言ってくださいますけど。すごく勉強になりました。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

加藤シゲアキ(かとう・しげあき)/1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。2003年に結成された「NEWS」のメンバーとして活動、ドラマ「3年B組金八先生」「時をかける少女」「嫌われる勇気」などに出演。執筆活動も展開し、12年に『ピンクとグレー』で小説家デビュー、16年に映画化。以降精力的に執筆活動を続け、今年『オルタネート』で、第42回「吉川英治文学新人賞」を受賞。5月には同作品が「高校生直木賞」も受賞した。自身の短編小説を自ら戯曲化した舞台「染、色」が上演中。6月30日にはNEWSのニューシングル「BURN」が発売。

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週刊朝日  2021年6月25日号より抜粋