加藤:愛菜ちゃん、すごいですよね。月30冊ぐらい読んでますもんね。

林:みんなもっと功利的に考えて、愛菜ちゃんみたいに、あんなに忙しくても本さえ読んでいればいい学校に入れるんだ、ということがわかってくれればいいなと思ってるんです。でも加藤さん、もともと本はそんなに好きじゃなかったんですって?

加藤:読んではいたんですけど、自分にフィットする本に出会えなかったんですよね。

林:ああなるほど。今の若い人は本を読まない、っていわれているけど、「これは自分の本だ」と思える本に出会えてないのかもしれない。

加藤:「これ、俺の話だ」という本に、僕は大学生ぐらいにいくつか出会って、そのあとたくさん読んだし、読んでなきゃ書けないこともわかったんですけど、逆に言えば、本が好きすぎたら「自分には書けない」と思ったでしょうね。大学を卒業してすぐ小説を書いたとき、あんまり本を読んでなかったからこそ、僕はずうずうしく「小説書けるだろう」みたいな、少し調子に乗ったスタンスで作品に向き合えたと思うんです。

林:私、加藤さんを新進の作家としてずっと見てきてたから、NEWSの活動もよく知らないんだけど、このあいだ「モダンボーイズ」という舞台を見せていただいて、「ほんとにアイドルスターなんだな」と思って認識を新たにしましたよ。女性トイレで並んでると、みんなが「シゲってさあ」とか「シゲがね」とか言ってるから、「そうか、シゲって呼ばれてるんだ」と思って発見もあって。

加藤:アハハハ、そうですか。

林:あれは木村拓哉さんがやられた舞台なんですって?

加藤:おそらく木村くんが爆発的な人気になる前夜みたいなときに出られた舞台で、非常に注目度が高かったんだと思います。それを27年ぶりに再演したんですよ。

林:すごくおもしろい舞台でしたよ。そして今度はご自分の作品(「染色」)が舞台化されて、いま公演中(編集部注:「染、色」6月20日まで東京グローブ座、6月24~30日・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)ですけど、ご自分で脚本も書かれたんでしょう?

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