「行政の私物化」が頻繁に指摘されるようになったのは、2012年に発足した第2次安倍晋三政権からだ。たとえば、国有地が格安で払い下げられた森友学園問題。学園と財務省の交渉の過程で安倍晋三前首相と昭恵夫人が関わっていた疑惑が持ち上がった時、安倍氏は国会でこう言い放った。

「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」

 この発言が、財務省を「公文書改ざん」という犯罪に走らせた。実行役を指示された財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんは、自死に追い込まれた。

「第1次安倍政権は閣僚の不祥事が相次ぎ政権が崩壊した。それで第2次安倍政権では、不祥事があっても『認めない』という戦略に変えた。森友問題も、安倍氏が早い段階で間違いを認めれば、こんなことにはならなかったはずです」(小田嶋氏)

(本誌・西岡千史、松岡瑛理)

週刊朝日  2021年6月25日号より抜粋