ミッツ・マングローブ「『記者会見』を貪る世間の体たらく」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「『記者会見』を貪る世間の体たらく」

連載「アイドルを性せ!」

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ミッツ・マングローブ

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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、大坂なおみさんについて。

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 全仏オープンでの記者会見拒否を表明した大坂なおみさん。これが予想以上の波紋を呼び、最終的に数年来抱えてきた精神的な症状を公表し、大会出場を途中棄権する事態へと発展してしまいました。昨年の全米OPと今年の全豪OPを連続で優勝しているだけに、非常に残念です。

 大坂さんのようなスポーツ選手に限らず、有名人がSNSで大事なことを釈明したり反論したりすると、世間は決まって「SNSを使って言うな」「やり方が一方的で卑怯だ」などと責め立てます。しかしそう言う世間の方こそ、どれだけ一方的で無責任な言葉や価値観を、のべつまくなしに垂れ流し、時には人を追い詰め傷つけていることか。そんな自分たちの穢(きたな)さを省みる間もないくらい、今や社会の思考や節度は完全におかしな方向へ行ってしまった。

 にしても、これだけ伝達方法が多様化したにもかかわらず、何故に世間は「記者会見」を強要したがるのでしょうか。なぜならそれは、彼らの匿名性の「安全度」がより強固になったからであり、要は顔も名前も伏せていられる人たちが、そうでない人たちに対し「顔を晒せ!」「名前を晒せ!」「説明しろ!」「謝罪しろ!」と強請(たか)っている、なんとも貧乏臭い構図と言えます。本来、自分たちの利益や安全に直結しない限り、「知る権利」も「説明責任」も主張する筋合いなどないはず。「記者会見」に限らず、あらゆる情報や詳細を「(無料[タダ]で)得られて当たり前」と思い込む世の中ほど低俗で愚かなものはありません。


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