──演技にどんな影響がありましたか?

「その結果、私はナターシャについてそれはたくさんのことを発見できた。私が知らなかった彼女の生い立ちや、彼女自身が嫌いな自分の面や、恥ずかしいと思っている面など。それをスクリーン上でいかに描くかが、俳優としての私の重要な課題となった。自分にとってはセラピーのような体験だったと言える。それが興味深い作業方法だった。俳優として10年も同じキャラクターを演じ、そのキャラクターとともに成長する機会が持てた。それはめったにないことだから、うれしかった」

──あなたが考える本作の重要なテーマは何でしょうか?

「三つほど大切な点がある。ひとつは明らかに興行的にこの映画が成功すること。楽しんでもらえるような映画を作り、多くの人に見てもらいたい。二つ目は、マーベル・コミックのファンの期待に応えるような内容にすること。ファンにお金を払って見たかいがあったと思ってもらえる映画にしたかった。同時にナターシャというキャラクターをファンの満足できる形で描くことも重要だった。そして三つ目は自分がナターシャをこれまで10年という長い歳月をかけて演じてきたことで、この役に私だけにしか描けない深さを持たせることができたらと感じた。その三つね」

──本作はアクション映画というより家族ドラマと言えるでしょうか?

「イエス、確かに家族ドラマは重要な一要素だわ。家族とは何か、さらに家族の過去が自分に及ぼす影響とはどんなものか、いかなる状況においても家族の絆が重要なことなどなど、さまざまな意味で家族というテーマに触れているの」

──最近アクション映画でも特にヒロインものが人気ですが、本作でいかに独自な方法でヒロインを描こうと思いましたか?

「この映画は特に女性の視点というのを重視しているわけではないの。さまざまな幅の広い観客層を対象にしているから。『15歳のダイアリー』(2004年)で知られるオーストラリア人のケイト・ショートランドという女性監督を抜擢したのは、彼女の女性としての存在感が圧倒的だったから。この表現が理解してもらえれば、のことだけれど。どういうことかといえば、彼女の過去作を見てみると、過酷な状況を描くシーンでさえ、女性にしか描けない思いやりが感じられた。それでいて表現は大胆で、どこか感情的に訴えかけるものがあるの。それこそが私にとって女性的なものであると思ったから。彼女の過去作に登場する女性キャラクターに目を向けたとき、女性のあらゆる側面を網羅しつつ描いている。例えば彼女たちの人生において男性の存在が除外できないものであったとしても、その状況を女性自身の立場から見ている」

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