高畑:昔、優ちゃんが主演の映画に出させてもらいました。そのときは大先輩だったのでそれほど仲良くなるきっかけもなかったんですけど、1年か2年たって、共通の知り合いがサンフランシスコに住んでいることがわかったんです。それで私が「一緒に行く?」となって、二人で旅をしてから、すごく仲良くなりました。

林:そうなんですか。蒼井優ちゃんってお酒飲みそうだけど、高畑さんは?

高畑:私もお酒飲みます。けっこう飲みます(笑)。優ちゃんは最近ほとんど飲まないので、私だけ飲んでます。

林:今回の「明日の食卓」という映画(5月28日全国公開)では、息子を持つ「大阪のオカン」といったイメージの役ですね。ちょっと意外、と思ったら、高畑さんは大阪のご出身なんですね。

高畑:そうなんです。東大阪というところなんですけど、私はああいう町工場があるところで育ったので、なじみがある景色だなあ、と思ったぐらいです。

林:3人のお母さんのオムニバス映画ですが、それぞれの家庭が事情を抱えていますね。3人のお母さんの中では、高畑さんの役柄がいちばん幸せそうだと思いました。シングルマザーだけど、あふれるような愛情を息子に注いで、親子に信頼関係がある。この親子だけはこの先大丈夫だろうなと思って、安心できました。

高畑:別の二つの家族とは、ちょっと違う感じのつながりを持った家族ですね。

林:とくに最後のシーン、高畑さんが演じていたお母さんの、意志の強さと潔癖さがよく伝わってきて、拍手したいと思いましたよ。

高畑:うれしいです。あのシーンはセリフが自分の中でうまくつながらなくて、監督(瀬々敬久)に相談したんです。そうしたら、監督、かなりアグレッシブな方なので、「じゃ、言いやすいようにセリフを変えていいよ」と言ってくれました。それでセリフを変えちゃったんです。

林:ああ、そうだったんですか。あのお母さん、すごくしっかりした人で、これから何があっても大丈夫と思わせてくれるセリフでしたね。タンカを切るわけでもなく、自分の言いたいことをビシッと言って帰るという姿でしたね。あのシーンだけかな、映画の中でカタルシス(すっきりした気持ち)を感じられたのは。

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