自立支援型のケアハウスは外出も外泊も自由だ。バス旅行の会などで友達を作る人もいるし、地元のシルバー人材センターで週に2~3日、アルバイトをする人もいる。

 彼女の場合、経済力、判断力にも恵まれ、特に年齢と健康が伴っていたからこそ、「知る人がだれもいない場所で暮らす」ことを決断できたともいえる。

 北海道は雄大な自然と、おおらかな人柄、おいしい食べ物というポジティブイメージが先行しがちだが、もちろん、雪も降るし、厳しい冬の期間は長い。北海道のケアハウスに聞いてみると、「湿気が少ない夏はさわやかに暮らせます。冬は雪が降りますが、館内は隅々まで暖かいです。東京から入居した人が東京の家ではトイレや廊下は寒かったけれど、こっちは隅々まで暖かいと言います」。

 道内から入居した人は「うちでは毎日雪かきをしなければならなかったけれど、ここではしなくて済むのは助かる。おかげで腰痛が治ってきたと喜んでいます」。

 今回、北海道のケアハウスの数を調べたら92カ所あった。北海道のケアハウスは、ほかの地域よりも居室の広いところが多い(全国平均は23平方メートル)。風呂やシャワー付きのところも他地域よりも多い傾向がある。天然温泉や薬用風呂付きの施設もある。気候や自然の豊かさに加えてこうした環境が健康増進につながっているのではないだろうか。

 敷地に余裕があるためか、パークゴルフ場や広々とした菜園、花壇が併設されている施設も多い。森林浴を楽しめるケアハウスもある。

 もう一つの特徴は、自立支援型と介護型の混合型のケアハウスが多いため、元気なときに入居し、要介護度が進んでも退去せずに住み続けられる安心感がある。また、自立支援型でも、法人内に介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護(小規模多機能施設)、特別養護老人ホームがあり、ケアハウスで暮らせなくなった場合の受け皿として機能しているところも多い。

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