日本チェアリング協会なる団体も、17年にできていた。協会ホームページには、千人を超えるフォロワーがいる。30~50代が中心で、女性が半分近いという。
協会を立ち上げた会長の伊藤雄一さんは、フリーの編集者をしながら、チェアリングの紹介に努めている。チェアリングのさらなる楽しみ方や注意点を聞いた。
例えば、西新宿の東京都庁周辺。こうした官庁街は夜や休日になると、人が少なくて、ひと味違う“穴場”になりうる。
折りたたみ椅子を携帯して出勤し、仕事帰りに夕焼けを楽しむのも醍醐味(だいごみ)だ。平日と休日、昼間と夜、それぞれ時間が違うだけで、同じ場所であっても“表情の変化”を楽しめるという。
もちろん、「じゃまになればすぐ移動する。ごみを散らかさず、騒がない」(伊藤さん)のが基本だ。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、行動も制限されがちだ。
自らもチェアリングを楽しむ大正大学地域創生学部准教授の林恒宏さんは、こう指摘する。
「コロナ禍は人を立ち止まらせ、幸せについて考えさせるようになった。経済活動のために消費行動をさせられ、稼がないといけなくなったが、人間の本当の幸せ、自然のあり方をもう一度、見直すものとしてチェアリングがあるのではないでしょうか」
「黙食」「黙トレ」ならぬ、「黙座」で気分転換してみてはいかが。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年6月11日号