(週刊朝日2021年6月11日号より)
(週刊朝日2021年6月11日号より)

 大抵のことは「Google先生」が教えてくれる今。若い世代でも、膨大な情報に踊らされることは珍しくない。慣れない育児に追われ、子育て情報に敏感なパパママであれば、なおのこと。そんな迷える子ども夫婦をサポートできる「じいじばあば像」とは……?

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「私が振り回されたなって思うのは、ネントレ(ねんねトレーニング)です」

 2歳の娘をもつ都内在住の女性(35)は出産前、子どもの寝かしつけについての一冊の本を読んだ。

 海外のカリスマベビーシッターが書いたその本には、「起きる時間やミルクの時間を一定にして、生まれた瞬間から生活リズムをおぼえさせましょう」と書かれていた。

 インターネットで調べると、その方法で成功したママたちのブログがずらり。夜、優雅にワインを楽しむ先輩ママの様子に、「私もパパッと子どもを寝かしつけて、Netflixを見たい」と期待を膨らませた。

 そして出産の翌日から、必死のネントレ作戦が始まった。起床時は太陽の光を浴びさせ、15分後にミルクをあげて、と一日のスケジュールを忠実に守ろうとした。だが……。

「低体重気味で生まれたので、体力不足で朝はなかなか起きないんです。昼寝の時間も守れない。ミルクも飲みたがらない。3日で挫折しました」

 それでも「○カ月 子ども 寝ない」と検索してみたりと、ネントレはあきらめなかった。

 だが半年ほど経ち、ようやく無理だと気づいた。「子どもには個人差がある。うちの子はショートスリーパーなのかなって吹っ切れました(笑)」

 ネットに振り回された過去を、こう振り返る。

「私たちの世代は検索の習慣が染みついていて、何事にも正解やハウツーがあると思いがち。でも子育ては他の人の成功例を頼るより、自分の子の様子を観察するほうが役に立つと、今は思います」

 医師・専門家監修の子育て情報サイト「ベビーカレンダー」を運営する株式会社ベビーカレンダーは、2018年、907人のパパママを対象に、子育てに関する情報収集についての意識調査を行った。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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