監督 ウィリアム・ニコルソン/4日からキノシネマ横浜みなとみらいほか全国順次公開/100分 (c) Immersiverse Limited 2018
監督 ウィリアム・ニコルソン/4日からキノシネマ横浜みなとみらいほか全国順次公開/100分 (c) Immersiverse Limited 2018
監督 ウィリアム・ニコルソン/4日からキノシネマ横浜みなとみらいほか全国順次公開/100分 (c) Immersiverse Limited 2018
監督 ウィリアム・ニコルソン/4日からキノシネマ横浜みなとみらいほか全国順次公開/100分 (c) Immersiverse Limited 2018

 アカデミー賞に4度ノミネートされている「アメリカン・ビューティー」のベニングと、舞台も含め輝かしい受賞歴を誇る「ラブ・アクチュアリー」のナイの共演が話題になっている「幸せの答え合わせ」。監督は脚本家出身のニコルソン。

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 イギリス南部の海辺の町シーフォード。この町で暮らすグレース(アネット・ベニング)とエドワード(ビル・ナイ)は、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていた。

 仕事を引退したグレースは詩集の作成に時間を費やし、エドワードは高校で教師をしている。独立して家を出た一人息子のジェイミー(ジョシュ・オコナー)が久しぶりに帰郷した週末、エドワードは突然、「家を出ていく」とグレースに別れを告げる。その理由を聞いて耳を疑うグレースとジェイミー。絶望と怒りに支配される母を支えるジェイミーも、自身の生き方や人間関係を見つめ直していく。3人それぞれの痛みはしかし、思いもしなかった明日を連れてくる──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★
性格の不一致の夫婦の離婚話。キッパリ独断型の妻が気づかないまま、もう耐えられない、と女を作り、家を出る優柔不断型の夫。その間29年は長すぎ。一人息子のやさしい思いやりは良いけど、ドラマの出来は薄いなぁ。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
ベニングとナイの自然でリアルな演技はさすがとしか言いようがない。夫婦や家族はまずなによりも正直であるべきなのか、それとも優しくあるべきなのか。そのボタンの掛け違いから生まれる深い溝を見事に描き出している。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
熟年夫婦の問題の映画はたくさんあるけど、こんなのは見たことがない。夢物語ではなく、飾らずとてもリアル! 心の中がもやもや。「不幸な人が3人いた、今は1人」。このセリフが脳裏から消えない。夫に優しくなりました。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
離婚のドラマながら控えめで人間関係の辛苦が味わい深い。人生の複雑さがニュアンス豊かに伝わるのは書き込まれた脚本の功績だが、ベニングを筆頭とした俳優陣の卓越さにもよる。成熟した家族劇として心に染み入る。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年6月11日号