また、日本中で問題になった接種予約についても、工夫されている。

「接種券に返信用ハガキをつけて予約できるようにした自治体もあり、現在は順調に予約がとれています」(前出の担当者)

 都道府県レベルでは接種率が低くても、市区町村レベルでは接種が進んでいる自治体もある。東京都の接種率は11.1%だが、墨田区は31%の高齢者が1回目の接種を終えた(25日時点)。同区では、ユニークな手法をとっていた。

「選挙管理委員会の職員4人がワクチンの接種計画を兼務で担当し、投票所の設置や投票券管理のノウハウを、ワクチン接種の準備に生かしました。選挙の実務とワクチンの接種には共通点が多く、接種券の管理や会場設置の調整で役立ちました」(墨田区広報広聴担当)

 医療関係者とも早くから協議を重ね、3月にはワクチンの打ち手を確保。接種会場で働く医師や看護師のシフトも組むことができた。現役世代への接種も早く、40~59歳は7月6日から、16~39歳は7月20日からの接種開始を予定している。

 一方、都道府県別の最下位は三重県。接種率は6.1%で、隣県の和歌山県の約4分の1しか進んでいない。そこで三重県の担当者を直撃すると、意外な答えが返ってきた。

「政府の記録では1回目の接種回数が約3万2千回ですが、県の集計では約6万5千回。接種率は約12%です。政府の接種記録は登録に手間がかかるので、接種会場で対応できない場合は後日にまとめて登録している。そのため、政府発表の数字に反映されるまでタイムラグがあるんです」(三重県感染症対策課)

 また、想定外のこともあったという。

「初期の段階で政府から届いたワクチンの量が、要望した量よりもかなり少なかった。それを見越して多めの要望を出した自治体もあったそうですが……。現在はワクチンは確保でき、県の集団接種も始まったので、今後は接種スピードが速まると考えています」(同)

 三重県では、国立病院機構三重病院がワクチンの副反応情報を収集するアプリ「コブセーフ」を開発し、副反応に関する情報をホームページ上で示し、誰でも見られるシステムを整えている。現在の政府発表の接種率では最下位でも、今後、三重県が注目を集めるかもしれない。

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