また運用系では、今ある制度として「ジュニアNISA」も考えられることを最後に付け加えておく。資産形成をめざした子供用の少額投資非課税制度だ。

「老後不安を抱える今の30歳代のカップルのなかには、『非課税投資枠』をめいっぱい使いたがる夫婦が増えていて、そんな夫婦が興味を示すと思うんです」(先の風呂内さん)

 大人の非課税制度にはNISAとつみたてNISAがあるが、一人で使えるのは一つだけ。例えば、夫がNISA、妻がつみたてNISAを使っていたとして、子供がジュニアNISAを使えれば家族全体の非課税投資枠が増える。

「祖父母からの100万円をジュニアNISAに充てるわけです。ただし非課税枠は年80万円までなので、2年に分けて孫の口座に入れていくことになります」

 以上が100万円でできる孫への援助法だ。高齢層が金融資産の多くを保有している現状を考えると、今後も贈与による資産移転は「高止まり」状態が続くとみられる。未来の日本のためにも、それを担う孫たちが強くなるような贈与を心がけたいものだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2021年6月4日号

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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