帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「不具合と付き合う」。

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【難聴など】ポイント
(1)歳をとると、からだの不具合が少しずつ増えてくる
(2)治し難い不具合とは親しく付き合うようにしよう
(3)不具合が自分にとってかけがえのない友人になる

 歳をとると、からだの不具合が少しずつ増えてきます。それは病気の後遺症だったり、単なる老化現象だったりしますが、治療してすぐに治せるものではありません。

 思いつくままあげてみると、老眼、難聴、耳鳴り、めまい、脳卒中後の麻痺(まひ)、嚥下(えんげ)障害、胸焼け、便秘、下痢、頻尿、肩こり、腰痛、膝(しつ)関節症、浮腫など数えきれないほど出てきます。

「歯目魔羅(はめまら)」という言葉をご存じでしょうか。まず歯が悪くなり、次に目が悪くなり、ついには魔羅が悪くなるという意味です。魔羅は陰茎の隠語ですので、生殖能力の低下を意味します。この言葉には歳をとることの摂理が込められているように思えて私は好きです。「歯魔羅目」という言葉もあるので、魔羅がいつ悪くなるかは確かではないのですが(笑)。

 85歳になった私のことを振り返ってみると、歯は20年ぐらい前までは歯磨きなしでも虫歯なしだったのに、急に悪くなりました。でもその後、総入れ歯になったので不具合はありません。月に1度、懇意にしている友人の歯医者さんに点検してもらえばいいのです。

 私にとってやっかいなのは、歯目魔羅には入っていない耳です。やはり20年ほど前、耳鳴りとめまいの発作が起きて、友人の耳鼻科医を訪ねました。彼は「症状を軽くはできるが治せない。できるだけストレスをなくすように」というのです。「ストレスをなくすことなんてできるか」と思いましたが、めまいについては、徐々に消えました。でも耳鳴りは続いて、右の耳は難聴になってしまいました。いまでは左右ともに補聴器のお世話になっています。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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