東尾修
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プロ2年目で1軍デビューを果たしたロッテの佐々木朗希=5月16日 (c)朝日新聞社
プロ2年目で1軍デビューを果たしたロッテの佐々木朗希=5月16日 (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、ロッテ・佐々木朗希選手について語る。

【写真】プロ2年目で1軍デビューを果たしたロッテの佐々木朗希選手

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 ロッテの佐々木朗希がデビューした。5月16日の西武戦に先発して、5回6安打4失点。救援陣が同点とされてプロ初勝利を逃したが、直球は常時150キロを超えていたし、四球から崩れるといった感じは見受けられなかった。

 1試合だけで判断できるものではないが、1年間、じっくりと体をつくり、課題を解消して階段を上がっていることはうかがえて良かった。

 5盗塁を許した点を指摘されているが、これから解消していけばいいこと。まずは質の高い球をしっかりと投げ続けることが第一である。走者を出しても球威が著しく落ちたりすることはなかった。あとはクイック投球、けん制のタイミングを一つずつ覚えていくことだ。

 一つひとつの球をとっても、1軍で投げていく中で、必ず自分の今のままで通用する球、改良が必要な球が出てくる。例えば、佐々木朗希の代名詞であるフォークボールは、空振りをとる球と、小さな変化でストライクゾーンに入れる時で握りを変える必要もあろう。2軍で打ち取れていても、1軍では当てられてしまう球速、変化量がある。どれだけ曲げれば有効なのかは、試合の中でしか実感できない。

 また、直球を生かす変化球として何が必要かという点もある。例えば、120キロ前後のパワーカーブみたいな大きな変化がアクセントとして必要になるかもしれない。打者は、佐々木に対して155キロ前後でくる直球にタイミングを合わせている。そこに同じ腕の振りで大きく球速を落とせる球があれば、簡単にストライクがとれるようにもなる。パドレスのダルビッシュやエンゼルスの大谷翔平だって、打者の目線を大きくずらすような大きな変化の球を持っている。

 ただ、そういった数々の指摘も、佐々木自身が何を感じて、何を修正していくかによる。いい球を投げる投手と勝てる投手の分岐点はここから。何回かもらうチャンスの中で、自分の特長を伸ばすには、何が必要なのかを感じてほしい。そして3年目の来年には、球界を代表する投手に飛躍してもらいたい。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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