■大場正明(映画評論家)


評価:★★★
過去に囚われ、身動きが取れなくなっていた兄妹の人生が、難民との思わぬ出会いによって変わる。監督の故郷マルセイユへの愛着とグローバルな視点が結びつけられ、衰退するコミュニティが小さな聖域のように見えてくる。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
さまざまな大変な出来事をこの美しい風景と合体させて、私たちを登場人物に寄り添っている気持ちにさせてくれるのはフランス映画ならでは! 知れば知るほど彼らの感情にもなったり。この家族の今後が気になります。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
あらすじから伝わるよりも豊饒な内容で、ある家族のドラマと見せかけてサブテキストに政治問題があるのがアルメニアがルーツの監督ならでは。終盤の難民の子どもたちが現れてからを含めて、実はかなり挑戦的で良い。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年5月28日号