花王の入浴剤「バブ」シリーズについては20年、1983年の発売以降、「史上最大の売り上げ(販売金額ベース)」を記録した。総合刃物メーカーの貝印では、「セルフ用スキハサミ」の売れ行きが堅調だった。今後、自分でネイルケアのできる商品も準備中だという。

 コロナ禍では、キャンプや釣りが注目されるなど“3密”を避けられるアウトドアへの関心も高まった。

 日本海洋レジャー安全・振興協会によると、モーターボートや水上バイクの運転に必要な小型船舶免許の20年度の合格者が前年度比25.7%増の7万1975人にのぼった。そのなかでも、難関だとされる最上位の1級合格者の割合がとくに伸びたという。1級の船舶免許は、20トンまたは船の長さ24メートル未満の小型船を外洋の制限なく、操縦できるものだ。自宅にいる時間が増え、こうした資格試験などの勉強にあてる人が多くなったのかもしれない。

 近年は5万人台で推移していたというから、まさに「勝ち組」の表れといえる数字だろう。

 もう少し食品や雑貨に絞って“勝敗”をみてみたい。

 調査会社インテージが20年の1年間でスーパーやコンビニ、ドラッグストアなど全国約4千店で扱った食品や雑貨などの商品(家電などは除く)のうち、前年と比べた売上高の伸び幅や落ち込み幅がそれぞれ大きかった30位までを集計した。

 売り上げが伸びた「勝ち組」は、「マスク」(1位)や「殺菌消毒剤」(2位)、「体温計」(3位)など衛生用品が並んだ。

 冷凍食品も人気で、10位に「冷凍水産」、26位にはブロッコリーやホウレン草といった「冷凍農産」が入った。

 日本冷凍食品協会によれば、20年の冷凍食品の工場出荷額は0.7%増の7028億円。このうち、家庭用は19%増の3749億円で、14%減だった業務用の3279億円を初めて上回ったという。

■訪日客減も影響 M&A仲介多忙

 冷食大手ニチレイフーズでは、から揚げや肉カツ類がとくに支持を集めたそうで、味の素冷凍食品の「ザ★シュウマイ」は20年4月から前年同月比で売上高2ケタ増が続く。とくに昨秋以降は30%増に迫る伸びだ。

 27位の「袋インスタントめん」や、今回はランク外だったが「インスタントめん」も好調だ。日清食品HDは定番のカップめん「カップヌードル」やカップうどん「どん兵衛」で、あっさりした味のシリーズがとくに好評だという。(本誌・池田正史)

>>【後編/食品、雑貨でいちばんの“負け組”商品は? GDPも前年比4.8%減】へ続く

週刊朝日  2021年5月21日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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