林:それでもお勉強はすごくできたんでしょう?

高畑:受験シーズンにただただ丸暗記するという、いわゆる千本ノックですね。私は水泳をやってたんですけど、運動部の人は意外と根性があって、受験にしても「数撃ちゃ当たる」ということが過去あったらしいんです。讃岐会館というホテルみたいなところに1カ月放り込まれて、受験日が重なってない大学を6校ぐらい受けさせられるんです。国、英、数、日本史の4科目の過去問だけをただただやらせて、数撃たせるという方針なんですよ。そしたら運よく全部当たったんです。

林:ひぇ~すごい。早稲田、慶応……。

高畑:早慶、お茶の水、津田塾、東女(東京女子大)。それが一パックなんです。そこがどういう学校だとかも知らないのに受けて、受かっちゃって。

林:そのときに女優さんになろうと思ったんですか。

高畑:いえいえ。私、水泳も香川県で1番で、でも、全国大会に出たらどべですよ、どべ。勉強も、香川ではできると思ったらもっともっとすごい人がいるし、何をやっても中途半端で、「私だけにできることはないかな」と思ってたんです。

林:ええ。

高畑:受験勉強を校舎の中の風通しのいい涼しいところでみんなやるんですけど、その廊下の端っこに「蛍雪時代」という本があって、その中にQ&Aのコーナーがあって、「演劇をやりたいんですが、どうすればいいですか」みたいなのがあったんです。そこに「実技を習いたいなら桐朋学園大学短期大学部演劇専攻というのがあって、俳優座養成所の人が演技を教えています。演劇概念なら早稲田大学に……」みたいなことが書いてあって、「そんなことを考えてる人がいるんや。よし、私も桐朋学園大学短期大学部に行こう」と思って、内緒で願書を出したんです。

林:ええ。

高畑:そしたら桐朋も運よく受かって、「桐朋に行きたい」と親に言ったら、猛反対でした。

林:そりゃ当時、女の子がお茶の水に受かったというのは、もう一族郎党、鼻が高いですよね。それを蹴ってというのは……。

次のページ