※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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(週刊朝日2021年5月21日号より)
(週刊朝日2021年5月21日号より)

 3度目の緊急事態宣言、ワクチン接種の遅れなど、新型コロナウイルスにまつわる不安に乗じて詐欺グループが暗躍している。警察や消費生活センターが最も注意を呼びかけているのが、「ワクチン接種詐欺」だ。外出自粛で高齢者が家にいる時間が増えたことも「好材料」になっているようだ。

【だまされる前に!ワクチン詐欺専用の窓口はこちら】

前編/ワクチンがらみの「コロナ詐欺」 1回目接種後もあぶない!】より続く

「ワクチンを優先的に接種できる」などのワクチン詐欺電話のように、警察や公共機関、親族を名乗って個人情報を聞き出そうとする電話は予兆電話と呼ばれる。特殊詐欺犯罪に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、詐欺グループは、予兆電話で得た情報を利用して、特殊詐欺の本番ともいえるオレオレ詐欺などに移行していくことを指摘する。

 オレオレ詐欺も新型コロナを利用して巧妙化している。1月中旬、京都市で80代の男性が、電話で息子を名乗る男に「コロナで仕事がうまくいかずに会社を辞めた知人の保証人になり、1千万円が必要になった」と言われ、2日後に自宅近くの路上で、息子の知人をかたる男に現金300万円を手渡してしまったという。

 大阪市では80代女性が、息子を名乗る男から「コロナかもしれない」との電話を受けた。その男は続けて「今、PCR検査の結果待ちだ」と話し、心配する女性に「友達と株をやって大損した。150万円段取りしてほしい」とお願いした。女性は銀行のATMで現金50万円を引き出し、自宅近くの路上で息子の代理という男に渡してしまったという。

 このように、オレオレ詐欺の手口にコロナを絡めて信憑性を持たせる手口は実に多様だ。多田氏によると、信憑性のカギは「不安」だという。

「詐欺グループは人々の不安につけ入ってだますのです。昔あった霊感商法は、ストーリーを提示してだましていましたが、コロナ禍の今はわざわざ物語を作り出さなくとも、そこらじゅうに不安が渦巻いている。コロナ対策や感染状況を上手に取り入れて利用すれば、詐欺のストーリーにリアルさが増すわけです」

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