「この年になると転倒が怖いですから、“転んだらダメ”をテーマに、路地のすみずみまで地図が描けるくらい歩いて(笑)。食事は多種類を少しずつとり、免疫力をつけるもの、例えば発酵食品の漬物、キムチなどをよく食べています」

 料理担当は、もっぱら夫の岡田太郎氏(元テレビプロデューサー)。

結婚当初はお茶もいれなかった人が、退職後に男の台所とかテレビを見て学んで、今はフライ、ソテー、シチューなど洋風はほとんど作ってくれます。無から有を生む、作るという点ではドラマも料理も似ているんですって(笑)」

 仕事、家庭、ライフワークとしている朗読会、3本の柱が絶妙のバランスで、若さと美を支えている。(由井りょう子 構成/長沢明)

吉永小百合(よしなが・さゆり)/東京都出身。小学6年のときラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビュー。1959年「朝を呼ぶ口笛」で映画初出演、以来、「キューポラのある街」「愛と死をみつめて」などでスターに。自らプロデュースも手がけた「ふしぎな岬の物語」、「最高の人生の見つけ方」ほか出演作多数。かたわら原爆詩の朗読などを通して戦争、核について問題を提起、平和への思いを発信し続ける。

週刊朝日  2021年5月21日号より抜粋