スマートフォンを使って診断が受けられるオンライン診療 (撮影/高橋奈緒)
スマートフォンを使って診断が受けられるオンライン診療 (撮影/高橋奈緒)
よりよいオンライン診療を受けるために (週刊朝日2021年5月7―14日号より)
よりよいオンライン診療を受けるために (週刊朝日2021年5月7―14日号より)

 新型コロナのまん延で感染を恐れ、病院に行かなければならないのに躊躇(ちゅうちょ)している人が増えているようだ。そんな状況の中、注目を集めているのがオンライン診療だ。どのように受診したらいいのか。56歳の本誌記者が初めて体験してみた。

【よりよいオンライン診療を受けるためには?】

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 オンライン診療の予約をした日、自宅でスマートフォンを構えて待つと時間どおりに先生が画面に現れ、こちらに話しかけてきた。病院内の様子が背景に写り、まるで診察室に呼ばれたようだ。さっそく診察が始まった。自分の症状を伝えると、「血圧はかなり高めですね」と診断。生活で気をつけること、今後どうしたらよいのかなどの治療方針を聞いた。最後に、

「血圧を下げる薬を宅配便でお送りしますね」

 と診察は10分ほどで終わった。病院への移動や待ち時間のストレスもない。「こんなに簡単なのか!」というのが率直な感想である。

 オンライン診療とは、パソコンやスマートフォンなどの情報端末の画面を通して、自宅などで診察や薬の処方を受ける仕組みだ。画面上で医師とリアルタイムで会話しながら診察が受けられることから、インターネットの普及に伴って世界的な広がりを見せてきた。

「国内では長い間、遠隔治療は離島、へき地に限定されてきましたが、2015年に厚生労働省事務連絡で情報通信機器を用いた診療の明確化が打ち出され、オンライン診療が解禁されました」

 そう話すのは、外房こどもクリニック理事長・院長で日本遠隔医療学会オンライン診療分科会会長の黒木春郎さん。

 18年には診療報酬にも位置づけられたが、初診は対面の診察が原則とされ、対象も生活習慣病など限定的だった。それがコロナ禍を受けて、昨年4月から電話診療も含めて初診から利用できるようになって、対象もすべての病気に広がった。

「ほかの患者と接触することがないので病院で感染するリスクがなくなります。また、病院で診察を受けると独特の雰囲気に緊張する人もいます。自宅だとリラックスして、いろんなことを聞くことができたという声も聞きます」と黒木さん。時間が取りやすいのでコミュニケーションが密になる効果もあるという。

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