千葉県の八千代市立阿蘇中学校では、「静の時間」を大事にしている。朝の学級活動前に15分間、読書する。昼の清掃は開始の号令とともに校内から一斉に音が消える。

 学校によると、「もっときれいに」「もっと使いやすく」と考えながら黙って清掃を進めることで、きれいな校舎を保てるだけでなく、気づきや思いやりといった心も育めるという。これを「黙動気づき清掃」と呼んでいる。他にも「黙考」や「黙動移動」があり、合わせて「四黙」活動を続けている。

 こうした黙活の広がりは、そのままソロ活(一人での活動)の多様化につながっているようだ。

『ソロ活女子のススメ』の著者の朝井麻由美さんは、

「ようやくソロに市民権がやってきた」

 と話す。これまでは、店や場所、シチュエーションなどによっては、ソロ活が奇異な目で見られ、行動が制限されることも多かった。

 行きたい飲食店が「おひとり様お断り」だったり、一人だとアラカルトメニューしか予約できない制限があったり。特にビアガーデンやレストランにその傾向がある。

 それがコロナ禍も相まって、ソロ活をする人が少しずつ増え、ソロ客を受け入れる場所も増えてきたと実感しているという。朝井さんは言う。

「コロナ禍でも、感染対策をしっかりやって、今も時々一人で外食しますが、一人ですから会話もありません。店もソロ客を歓迎しているように感じています。“密”や飛沫の迷惑をかけにくいライフスタイルだと思います」

 関西在住の主婦のミカさん(仮名・52歳)は、まさにソロ活が増えた一人だ。

 もともとは一人で喫茶店にすら入れなかったのに、コロナ禍で一人の行動が増え、「一人旅からバイキング、最近はUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)まで一人で行ってしまいました。実際に一人でやってみると意外と楽しめることがわかって癖になりそう(笑)」。

 黙活で行動が制限されて残念というよりも、ソロで行動する人にとっては人目を気にせず過ごせる日常になったと感じているという。

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