さんまの飛沫発言にもちゃんと含意があった。

「おいらが“さんまの唾の飛沫が怖い”って言ったのは完全なお笑いだよ。そんなこと本気で言ったとしたらさんまだって怒っちゃうだろう? 芸人はどんなときでもお笑いにしなきゃいけないってだけ。“さんまの唾がヤバい”っておいらが言うのは、密になって食事したり飲み会している人たちがワーワーやって飛沫を飛ばしているのがヤバいって言うのと同じ意味で、そいつらに気付いてもらいたいわけさ」

 ワクチン接種後の副反応についてもこう言う。

「ワクチンには必ず副反応があるわけだ。インフルエンザの予防接種だって、打てばおいらは必ず肩が痛くなり、ときに腫れ上がったりする。でもこれって当然だろ? 体に異物が入るんだから、しょうがないわけさ。たしかに脳血栓起こして死ぬのは嫌だけど、確率的には安全だよ。自動車事故とおんなじで、事故に遭うから街を歩かないとはならないよな。どう選択するかの問題だね」

 テレビなどで見せる「お笑い向け」の発言とは違う、こうした冷静な意見は国のワクチン政策にも及ぶ。

「ワクチン研究への投資が少なすぎるよ、日本は。外国は、大学や企業にものすごく資金援助しているし、国と研究室との連携もしっかりしている。それに比べると日本はまるで投資してない。間抜けな道路を造ったり、ウナギの完全養殖を目指すとか言うけど、天然のウナギの実態さえわかってない。実に情けねえなって思うね」

 2月に発売された著書『コロナとバカ』では、同世代の尊敬するコメディアン、志村けんさん(享年70)が亡くなったことについても触れ、自分の中に「小さな変化」があったと書いている。

「去年、志村けんちゃんが亡くなったというニュースが、おいらにとってショックだったのは、今の日本の最先端の医療でも手に負えず、亡くなってしまったこと。つまり、人類は新型ウイルスにはかなわないっていうのがはっきりしちゃったのがショックだったね」

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