※写真はイメージです (GettyImages)
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子宮頸がんデータ (週刊朝日2021年4月30日号より)
子宮頸がんデータ (週刊朝日2021年4月30日号より)

 20、30代の若い世代から罹患のリスクがある子宮頸がん。性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となる。がんの初期には自覚症状が表れない。そのため、早期発見には検診が重要になる。

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 子宮頸がんは、女性特有の臓器である子宮の頸部(入り口の部分)にできるがんだ。子宮には、子宮体部に発生する子宮体がんもあるが、がんの種類も発生原因もちがう。この二つに関連性はなく、まったく別の病気と考えていいだろう。

 子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで起こる。HPVは、100種類以上が確認されており、いぼや性器にできる尖圭コンジローマなどの原因にもなる「ローリスクタイプ」がある一方、子宮頸がんを引き起こす16型、18型などは「ハイリスクタイプ」と呼ばれる。

 基本的に、性行為に関連してHPVに感染する。そのため、子宮頸部だけでなく、咽頭・喉頭、肛門にもがんが発生することがある。男性の場合も、陰茎がんをはじめ、咽頭・喉頭、肛門にリスクがある。コンドームの使用である程度防げるが、完全ではない。

 また、子宮頸がんの原因となるHPVは、ワクチンの接種で感染を防ぐことができるのも特徴だ。セクシャルデビュー前の接種が最も効果的だが、デビュー後でも一定の予防効果は期待できる。

 慶応義塾大学病院婦人科診療科部長の青木大輔医師はこう話す。

「2020年には九つのタイプのHPVを対象にした9価ワクチンが承認され、約90%の予防効果が見込めるといわれています。さらに4価ワクチンが男性にも承認されました。接種を考えてみたいという人は、婦人科で相談してください」

 年間の患者数は約1万1千人で、20~30代の若い世代から罹患リスクがある。最も患者数が多いのが、30~40代。子育てや仕事に忙しく、また妊娠・出産を考える世代でもあり、発症は深刻だ。

 子宮頸がんは大きく扁平上皮がんと腺がんに分けられる。扁平上皮がんが約7割、腺がんは2割程度ではないかと考えられている。がん細胞の性質は異なるが、どちらも同じ治療をおこなう。ここでは患者数の多い扁平上皮がんを中心に述べる。

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