これは、スマホの位置情報を利用して、半径1キロ以内ですれ違ったユーザーのおすすめ本の書名、著者名、あらすじ、その人の100文字分の感想が自分のアプリに表示されるというもの。

 あらかじめアプリに自分のおすすめ本を登録しておくと、誰かのアプリに表示されることになる。本を登録せずに人のおすすめ本を見ることも可能。あくまでおすすめ本が表示されるだけで、ユーザー同士でメッセージのやりとりはできず、本との新たなめぐり合わせに特化しているのが特徴だ。

「日常生活を送っているだけで知らない世界に触れる体験があればと考えたときに、本との出会いが思い浮かびました。街ですれ違っただけの赤の他人からのおすすめ、という偶然性を大事にしています。メッセージ機能がないのも、人ではなくて本と出会ってほしいから。歩いているだけで人のおすすめ本が飛び込んできたらわくわくしませんか?」(大阪ガスtaknal編集部・富田翔さん)

 おすすめされた本を読むかどうかは自分次第。アプリを開くたびに見知らぬ本が表示されると、「私が普段読んでいる本はごくごくわずかなんだな」と気付かされ、読書欲をかき立てられる。

 本選びがマンネリ化している人も、普段あまり本を読まない人も、これらのサービスに委ねてみれば、きっと好奇心の新たな扉が開くはずだ。(ライター・吉川明子)

■本誌読者におすすめの絵本
『しりとり』(福音館書店) 著/安野光雅
各ページにたくさんの絵と名前が書かれている。最初のページで絵を一つ選んだら、しりとりをしながら絵を選ぶ。最後のページで「ん」で終わる絵にたどり着けるか?「安野さんのやさしいイラストが素敵で、何度でも遊べます」(岩田さん)

『おなじ そらの したで』(ひさかたチャイルド)著/ブリッタ・テッケントラップ、訳/木坂涼
どんな生き物も同じ空の下で生きており、命が息づいていることを描いた一冊。切り抜きの仕掛けがあり、次ページにつながっている。「切り抜きの仕掛けが素晴らしく、プレゼントにぴったり。コロナで人に会いづらいからこそ、おすすめです」

週刊朝日  2021年4月30日号