光石:今、「桜の塔」というテレビ朝日のドラマに入ってるんです。警察の内部抗争を描いたドラマですね。警視総監の座を狙っている東大出のインテリで、ぜんぜん似合わないんだけど(笑)。

林:でも、作業着が似合うのと同じように、公務員の役もお似合いになりますよ。高級官僚の役も。

光石:いやいや、ぜんぜん(笑)。

林:そうそう、このあいだ女性誌がバイプレイヤーの特集をやってて、「名バイプレイヤーと言われる人たちには、主役の人にはない色気がある」って書いてましたけど、たしか光石さんもその中に……。

光石:ああ、入ってました。「anan」だったかな。

林:私、なるほどなと思いました。主役の人は二枚目だから、色気をまとう必要がないけど、バイプレイヤーの人たちにはなんとも言えない色気があるよな、って私も思ってましたから。

光石:「anan」の方にインタビューで「どうやったら色気が出るんですか」みたいなことを言われて、どうやってって言われても、男の色気なんて考えたこともないんで、「何を聞いてるんだ、この人は」と思いました(笑)。

林:仕事から離れた日常は、どんなふうにお過ごしなんですか。

光石:ごくごくふつうですよ。仕事して帰ってきて、お酒飲んでグチ言って寝るという。

林:役者仲間とお酒飲んだりもなさるんですか。

光石:僕、お酒を覚えたのが遅かったんです。40代になってからよくお誘いを受けるようになって、下北沢の安酒場で楽しく飲んでました。最近はコロナもあって、それはないですけどね。

林:となると、うちで映画やネットフリックスを見たり……。

光石:それもしますし、ユーチューブを見たり。くだらないのを延々見ちゃうんです。軽自動車を自分でDIYして、後ろで寝られるようにする動画とかやってると、ついつい見ちゃって、気がつくと深夜とか(笑)。

林:わかります。どんどんオススメが出てきて、見ちゃうんですよね。でも早く皆さんで集まってお酒を飲める日が来るといいですよね。今度のドラマも楽しみにしています。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

光石研(みついし・けん)/1961年、福岡県生まれ。78年、16歳のときに映画「博多っ子純情」のオーディションを受け、主役に抜擢される。以降、さまざまな作品に出演し、NHK大河ドラマや連続テレビ小説でも名バイプレイヤーとして活躍。最新出演作の映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」が全国映画館で公開中。放送中のドラマ「桜の塔」(テレビ朝日系)、「珈琲いかがでしょう」(テレビ東京系)にも出演。

週刊朝日  2021年4月30日号より抜粋