もう一つ怖いことがある。それは、原発の新設を正式に決めるのではないかということだ。最近、経済界や自民党の中に、原発の新設を求める声が急速に高まっている。これまで世論の反発が強くて、なかなか声高には唱えられなかったことだ。

 私が原発推進派なら、菅総理にこう言うだろう。「日本には、脱原発という誤った考えがはびこっています。でも、脱炭素推進には原発の新設が欠かせないことは明らかなことです。ずっと前からわかっているのに、安倍前総理でさえ、怖くてできませんでした。ここは菅総理の出番です。世論を恐れず、やるべきことをやる。菅総理でなければできないことです」

 菅総理は、いつ、この宣言を発するのだろうか。

※週刊朝日4月30日号より

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など

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古賀茂明

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古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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