林:水商売に「これだ」と目をつけたきっかけは何だったんですか。

甲賀:水商売業界のイメージや地位を向上したいというのがきっかけでした。それと従来のホステスさんの人材育成は、すし職人みたいに「見て盗め」みたいな感じなんですけど、ホステスさんだけじゃないと思いますけれど、見て盗めない人が大多数なんですよ。そこは何かテコ入れできるんじゃないかというのが、今でも大きな土台ではあります。

林:へぇ~、なるほど。

甲賀:私、自分で言うのも何ですけど、勉強はずっと頑張ってきたほうで、高校のときは生徒会長をやったり、自分なりにまっすぐな人生なんです。「社会の役に立つために」というのは今も一貫していて、今のところ私の代わりがまだあまりいない状態なので、役割としていまできることを精いっぱいやることが自分なりの社会貢献だと思ってやっています。

林:コロナ禍でも業界の声というと、私もたまに行く「ル・ジャルダン」(銀座の高級クラブ)の望月明美ママが、営業自粛要請に対して「私たちが今までどれだけ税金を払ってきたと思ってるんですか!」ときっぱり言ったのもカッコよかったです。甲賀さんご自身も、「ル・ジャルダン」でホステスの経験があるんですよね。

甲賀:そうなんです。この業界に入っていくためには現場を知らないとダメだし、それなりの実績がないと説得力もないなと思って、「ル・ジャルダン」さんにお世話になりました。

林:いいところを選びましたね。

甲賀:とても勉強になるいいお店でした。働いているときに、お店にいらした林さんもお見かけしました。キラキラ輝いていましたよ。

林:あらっ、そうでしたか。甲賀さんは青学(青山学院大)ですよね。甲賀さんが「ル・ジャルダン」にいらしたころは、大卒のホステスさんが、まだめずらしかったですか。

甲賀:「ル・ジャルダン」がたまたまかもしれないですけど、東大の子とか学習院の子もいたり、学歴を持った人はけっこう多かったですね。国立大出身で今でも黒服をやってる男性もいます。もちろんそうじゃない子もいましたけど。

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