甲賀香織 (撮影/写真部・高野楓菜)
甲賀香織 (撮影/写真部・高野楓菜)
甲賀香織さん(右)と林真理子さん (撮影/写真部・高野楓菜)
甲賀香織さん(右)と林真理子さん (撮影/写真部・高野楓菜)

 コロナ禍で大打撃を受けている水商売業界の窮状を、業界を代表して自民党に直訴するなど、“夜の街”への偏見とたたかう銀座の高級クラブの元ナンバーワンホステス・甲賀香織さん。業界の地位向上のため団体を立ち上げ、奮闘中です。銀座のクラブで“ママ”の経験がある作家・林真理子さんも、業界の今が心配で──。

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林:甲賀さんは、いわゆる“お水”の協会(一般社団法人日本水商売協会)を立ち上げて、代表理事をなさってるんですね。東京では3月下旬に緊急事態宣言が解除されましたけど、今、水商売の業界はどうなんですか。

甲賀:お客さまの入りは、緊急事態宣言中よりはまだまし、というぐらいですね。時短営業協力金が一律6万円というのは、明らかに少なすぎるところがあると思います。小さいお店は協力金によってけっこう助かっているみたいですが、規模が大きなお店は深刻で、特に銀座地域は、客層的にも年齢層的にも、お客さまが戻るのがかなり厳しい状況です。一方で、新宿の歌舞伎町地域は、そこそこ賑わってますね。特にホストクラブは好調です。

林:えっ、ほんとですか。私はホストクラブは行ったことないけど。

甲賀:ホストクラブのお客さまたちは世論とかをあまり気にしないというか、世間とは別の世界で生きている感じの方が多いので、そもそもコロナが話題になることも少ないようなんです。

林:私も食事の後、バーに寄ろうかなと思うこともあるんですけど、このごろ外で飲んでたら何を言われるかわからないじゃないですか。だからみんな怖がって、食事が終わるとそそくさと帰っちゃうんですよ。会社にクラブに行くことを禁止されてるところも多いみたい。

甲賀:銀座は、もともと接待・交際費で成り立っていた街ですからね。地域、業態、お店の規模によって、いろんな格差が生まれてるなという印象です。しかも、今までちゃんと納税をしてきたり、休業要請に応えたり、感染防止対策をきちんとやってきたところが報われているわけではなくて、多少ズルしてたほうが勝ち残れる状態にあるんです。「正直者ほどバカをみる」状態になっているのが協会としては納得がいかないところで、ちゃんとしている店舗や個人が報われる仕組みにしていかないといけないですね。

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