■毎日運動しても筋力が低下する

 コロナ禍においても運動をがんばる高齢者の多さにも驚くが、調査に参加した二階堂医院(長野県千曲市)の院長で整形外科医の二階堂元重医師は、「それにもかかわらず、自粛中に下肢の筋力低下を思わせる変化が出た人が多かった」と話す。

 具体的には、「つまずきやすくなった」「速く歩けなくなった」「階段が上りづらくなった」と答えた人が2~5割弱もいたのだ。この理由について二階堂医師は次のように考察する。

「おそらく有酸素運動を代表するウォーキングについては、その人の健康状態にもよりますが、ストレス解消などの効果は期待できるものの、運動機能を高めることは難しいといえます」

 その結果、運動しているにもかかわらず体幹や下肢の筋力の低下は進み、先に挙げたような変化が出てきたのではないかという。

 もちろん、正しいウォーキングをしているかどうかでも違うだろう。

 このウォーキングについて桑原医師は、「背筋をピンと伸ばし、足と骨盤が一緒に動くように意識しながら、大またで歩くように」とアドバイスする。手も大きくふったほうがいい。歩く場所は平坦なところにし、準備体操とクールダウンはしっかり行う。

 歩いていて、膝、股関節、腰などに痛みや違和感があると、理想のフォームでウォーキングをするのが難しくなる。がまんできるからと、そのまま続けるのは危険だ。

「歩くときに痛める場所=弱点をそのままにしておくと、将来、その痛みが深刻な問題につながりかねません。まずは靴やインソールなどで足の環境を調整しましょう」(桑原医師)

 それでも痛みが続いたら、専門医に診てもらったほうがいい。

 二階堂医師は、このウォーキングに「おだやかな筋トレをプラスしたほうがいい」と提案する。おだやか、つまり低強度の筋トレは、運動不足によって起こる関節の痛みや、運動をすることで起こるケガ予防にもつながるという。

 おだやかな筋トレの代表がスクワット。やり方を石橋医師に解説してもらった。

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