「イングリッシュハウス」と言われる寮も特徴の一つだ。高校も合わせた全校生徒約700人のうち1割が暮らし、週3~4回、ネイティブスタッフによる英会話レッスンがある。

 北海道から沖縄まで全国から生徒が集まるが、もともと英語ができる生徒はわずかだという。岩本副理事長はこう語る。

「入学者の90%以上がアルファベットから学び始める普通の子で、首都圏の海外大に強い学校とは違うと思います。生徒は4、5月は苦労しますが、次第に慣れていきます。子どもの適応能力は高いです」

 野球などで有名な沖縄尚学(那覇市)も海外大に強い。3月4日時点の合格者数は延べ78人だ。国内外の大学を狙う「国際文化科学コース」があり、国際バカロレアの資格取得に取り組んでいる。ただ、1学年13人(定員25人)。延べ78人の合格者のうち、このコースからの合格者数は同26人しかいない。残りの同52人は国公立大や私立大を目指すコースなどからだ。

 今年は野球部に所属していた体育コースの生徒も、日本の大学とアメリカのワシントン州立大やアイダホ州立大に合格した。石井淳教頭が説明する。

「台湾出身の非常に優秀な生徒で、日本の甲子園に出たいと言って入学してきました。英語のスピーチコンテストの九州大会で優勝し、全国大会でも3位。英検準1級も持っていました。ただ、この生徒に限らず、IBのコース以外の合格者は多いです」

 同校の合格実績を支えるのは、海外大への“指定校推薦”だ。アメリカの六つの大学と高大連携協定を結んでいる。例えばワシントン州立大の場合、卒業までに英検準1級以上を取り、内申点で3.4以上などの基準をクリアすると入学が許可される。

 指定校推薦は特典も多い。内申点に応じて、返済義務のない給付型奨学金を受けられる。受験料も免除される。日本の指定校推薦は合格したら進学が義務づけられるが、アメリカでは義務はなく、日本の大学を併願できる。石井教頭は、こう話す。

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