漁港で漁具を踏んだり、子どもが防波堤を走り回り、釣り客の竿を引っかけることもあるという。迷惑をかけない行動は釣り以前のマナーだが、協議会では釣り教室や講習会の開催、清掃活動などを通じて指導もしている。

 木村さんによると、プラスチックやビニールなどを置いていて、突然吹いた風に飛ばされ、海のゴミになることがある。釣りに慣れた人なら想像がつくが、初心者にはわからないという。

 また、トイレも問題になることが多く、現場周辺で用を足す人がいて、漁港関係者などが困っているそうだ。木村さんは、車で訪れる際に簡易トイレを携帯してほしいと話す。地元の魚市場などのトイレを使う人もいるが、「使い方が雑」で問題になることも。

 さらに木村さんは、ライフジャケット着用の重要性を指摘する。ライフジャケットを用意している釣り施設もあるが、基本は自前で用意してほしいという。

「ライフジャケットを着用しても、つけ方が間違っている人もいます」(木村さん)

 股ひもをつけていない人もいて、海に落ちるとライフジャケットが抜けてしまう。

 コロナ禍でも場所や時間帯を選べば、釣りは気軽に楽しめる。車で家族一緒に移動もできる。地元に迷惑をかけないよう、ルールやマナーを釣具店で聞いたり、業界団体サイトを事前にチェックしたい。自然が相手で、雨や風など天候にも注意し、無理は禁物だ。

「危ないから禁止」ではなく、「人が管理すればより安全になります」と日本釣振興会の高橋さんは話す。管理された釣り場なら、あまりゴミもなく、落水事故が起きても、すぐ救助できる。

「釣りは人のにぎわいをつくり出せる可能性があり、地方創生の起爆剤になる」とも高橋さんは期待している。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年4月16日号