黒川博行・作家 (c)朝日新聞社
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※写真はイメージです (GettyImages)
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 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は、「家の動物」について。

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 頭と背中が青く(きれいな群青色)、腹の赤い(煉瓦色)小鳥が庭の梅の木に吊るした洗面器に入って餌を食べていた。スズメが近づいてくると威嚇して追い払い、キジバトが来ても気にするふうはない。大きさはヒヨドリほどか。はて、なんじゃろか。初めて見る鳥だから正体が分からない。

 グーグルで『日本の野鳥』を調べて、イソヒヨドリだと分かった。ウィキペディアによると「スズメ目ヒタキ科に分類される鳥の一種。アフリカとユーラシア大陸に広く分布する鳥で、和名どおり海岸や岩場に多く生息している。近年は内陸部の地方都市で繁殖が確認されるようになり、大都市圏で見かけることも珍しくない」とあった。

 うーん、これはうれしい──。うちの庭に来る鳥は、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメ、キジバトだが、また一種増えた(アオサギが来たこともあったが、池に飛び込んで金魚を襲うのには参った。羽を広げると二メートル近くもあるやつがバシャバシャしているのを見るのは、ほんと気分がわるい。も来て金魚を獲るから、いまは池を金網で覆っている)。

 もっといえば、タヌキの餌付けをしていたころもあったし、池のカエルを狙ってシマヘビが、キジバトの卵を狙ってアオダイショウが来たこともあった。アシナガバチとコガタスズメバチも巣を作った。玄関の軒下にツバメが巣を作りかけたときはうれしかったが、カラスに目をつけられたのか、途中で巣作りをやめたのにはがっかりした。

 セキレイはうちの近くの路上でよく見かける。小さいのに、走るのがやたら早い。ひとを恐れている感じはないが、近づくと逃げる。遠くには逃げず、一定の間合いをとる。ネットの画像を見ると、たぶんハクセキレイだろう。

 このところ、ムクドリのつがいが台所のエアコンの穴に出入りしている。そろそろ卵を生んで温める時期だ。毎年のことだが、雛が無事に巣立ってくれるとうれしい。ムクドリの巣はダニがわくらしいが、穴は台所側から塞いでいるので害はない。

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黒川博行

黒川博行

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する

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