現在、舞台・スタジオ・飲食店などの空間プロデュースを手がけるBMCエンタープライズ代表をつとめる“神様”ブッチー武者さんが、当時を振り返る。

「台本もなくて、自分の判断で○か×かを裁くんだよって言われ、そんなに責任重いの!?って(笑)。はじめは緊張して、わずかな時間がすごく長く感じました(笑)。レギュラー陣やスタッフには、ほとんど×を出してましたね(笑)。スタッフのみなさんも、失敗してもそこで映れるもんだから、楽しんでやってましたね。タレントもスタッフも、自分がどれだけ目立てるかという世界でした。横澤さんも、ああいった形でテレビ出演したのは初めてだったそうですね」

 ブッチーさんが「ひょうきん族」のすごさを語る。

「台本は1時間番組としては薄いもので、決まりもほとんどない世界。だから、タレントさん個人の実力やすごさを見せる番組でした。島崎俊郎さんのアダモステもたしか、追い込まれて追い込まれてとっさに出てきたフレーズが、『ンーーーーー、ペイ!』だったと思います(笑)。『懺悔室』でも、みなさん自分の失敗からおもしろい言い訳をふくらませて懺悔するわけですから、さすがにすごいなと思いながら見ていました。それぞれ力を持った人たちによる“出たとこ勝負”のおもしろさ、何が起こるかわからないところが大きな魅力だったんでしょうね」

 横澤さんが主賓のあるパーティーで、神様に扮して、横澤さんの半生を裁定するという大役をつとめたことがあった。

「たしか、『×』だったと思います。終わったあと、『ありがとうな、盛り上げてくれて』と言われました」

「ひょうきん族」を代表するスターの一人が、山田邦子さんだ。3月に出版された、芸能生活40年と60年の人生を振り返る著書『生き抜く力』(祥伝社新書)には、当然「ひょうきん族」のことも書かれている。

<メンバーだけでなく、ひょうきんディレクターズやスタッフ全員で毎週アイデアを出し合いながら、一緒に泣いたり笑ったり夢中で過ごしました>

 邦子さんが、当時を振り返る。

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