参院議員 武見敬三 (c)朝日新聞社
参院議員 武見敬三 (c)朝日新聞社

 自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部などは3月、政府に向けて「新型コロナウイルスに係る変異株のモニタリング体制に関する緊急提言」を提出した。武見敬三参院議員は提言を取りまとめた中心メンバーの一人。現状の対策の問題点と解決策を聞いた。

【グラフ】AIが予測した英国型変異株の感染爆発

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 コロナ対策における現在の喫緊の課題は変異株を一刻も早く抑え込むことですが、現行の日本の感染症対策の仕組みでは不十分です。

 現在は都道府県などに属する地衛研が変異株PCR検査を行い、感染研がウイルスの全ゲノム解析を行っていますが、スピードが足りず時間がかかりすぎている。大学など、大量のゲノム解析ができる研究機関の協力を得る必要があります。

 ゲノム解析ができる大学に協力を依頼し、その結果を感染研に情報として集約する仕組みがなかったのも問題です。感染研は厚労省の直轄組織で、大学は文科省の管轄のため、縦割り行政の弊害で連携が非常に難しい。しかし、政府はこの間、目の前の課題に手いっぱいで、抜本的な制度改革は放置されてきました。

 私たちが政府に緊急提言を行ったことで、ようやく動きが出ました。厚労省と文科省が合同で、都道府県や大学と連携した検査体制を築くための課長通達を出したのです。

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