※写真はイメージです (GettyImages)
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口を「の」にして発声する。これを10回1セットとして1日2~3回行う (週刊朝日2021年4月9日号より)
口を「の」にして発声する。これを10回1セットとして1日2~3回行う (週刊朝日2021年4月9日号より)

 声がれがなかなか治らない。そんな症状がある人は要注意。大きな病気のサインかもしれない。のどは体内の臓器とも密接に関わっていて、影響を受けやすい。一方、外からくる病原体やウイルスを食い止める最初の関門でもある。強いのどを保つためには「お風呂カラオケ」をお勧めしたい。

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“声”の不調も全身の病気と関係する。

「声がれは風邪や声帯結節、ポリープなどでも起こりますが、喉頭がんや甲状腺がん、肺がん、食道がん、胸部大動脈瘤(りゅう)、脳卒中などの命に関わる病気のサインとして表れることもあります。また声の機能が低下すると誤嚥性肺炎を起こしやすくなります」

 こう話すのは、声の治療を専門とする山王病院(東京都港区)・国際医療福祉大学東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師だ。

 なぜこうした大病が声の異変でわかるのか。渡邊医師は次のように説明する。

 声を出すためには声帯を閉じたり開いたりする必要がある。その動きを担っているのが、迷走神経から枝分かれしている反回神経だ。迷走神経は甲状腺や肺、大動脈の周りを走っているため、これらに異常が起こると迷走神経の先にある反回神経にも影響し、声が出しにくくなったり、かすれたりするのだ。

「なかでも胸部大動脈瘤は最初に出る症状が胸痛ではなく、声がれという例が20%もあります。風邪を引いた、声を出しすぎて声がかれたという後、なかなか治らないときは瘤がある可能性がありますので一度、医療機関で診てもらうことをお勧めします」(渡邊医師)

 がんや脳卒中ほどの危険な病気ではないが、胃酸が食道のほうに上がってくる胃食道逆流症(GERD)という病気でも、せきや声がれといった症状が出る。

 原因は過度なストレスや脂肪過多・糖質過多な食事、胸の締め付け(着物や矯正下着)だが、コロナ禍のテレワークで一日中パソコンの前で仕事をしているのもリスクだという。前かがみの姿勢を続けることで、胃や食道を圧迫されるからだ。

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