「必要ではない」が最も多かったのは「高級時計」で73%だった。今はスマートフォンで時間を見る人が多くなっていることも背景にありそうだ。

「飲みニケーション」も44%が「必要ではない」と回答。「必要」は26%にとどまった。回答者の多くは飲酒できる年齢ではないが、飲みニケーションの必要性を感じていない人が多い。将来的には飲みニケーション文化が廃れるかもしれない。

「高収入」については「必要」が58%に上ったが、「高い地位」については回答が各30%台と割れた。社会的地位にかかわらず高収入を得ようと考える人が多そうだ。

「持ち家」と「自家用車」では「必要」が多く、それぞれ50%、39%だった。だが、マイホームとマイカーが人生の目標だった世代から見れば、低い数字と言えるだろう。

■女子増加の方法 推薦枠増に賛成

 東大合格者が才能を認める有名人は誰か。最多は人気予備校講師の林修で19人。元大リーガーのイチローが18人、将棋藤井聡太が16人と続いた。お笑い芸人も人気を集め、4位は明石家さんま(9人)、5位に松本人志(8人)、8位にバカリズム(5人)。メディアによく露出したり、話題になったりした人が上位に名を連ねた。

 また、相対性理論を提唱したアインシュタイン(7人)、そのアインシュタインが世界一の天才と評したとされるジョン・フォン・ノイマン(5人)といった歴史上の科学者も上位に入った。

 アメリカの経営者を挙げる人もいた。電気自動車大手テスラのイーロン・マスク(5人)、IT大手アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ(同)だ。

 東大では女子学生数が学部全体で20%を下回っており、女子を増やすことが課題になっている。「女子2割の壁」だ。入試で「女子枠」を設けることや、女子入学者が多い学校推薦型選抜(旧推薦入試)の「定員増加」について賛否を尋ねた。
 定員増に関しては50%が「賛成」と回答した。東大当局は「優秀な人材が集まっている」と認める。導入6年目の同選抜について、受験生の理解も一定程度進んでいると言えそうだ。

 一方、3月10日に東大が開いた記者会見で女子枠の可能性について尋ねると、福田裕穂副学長は「きっと認められない」と答えた。女子枠は公平・公正な入試に反するという考えがある。合格者のアンケートでも「反対」が71%に上った。

 一方で、「賛成」も28%と一定数を占めた。海外では、差別是正や多様性を確保するために性別や人種に応じて枠を設ける大学もある。日本でも医学部の地域枠や帰国生枠など大学の実情に合わせて入試枠が定められている。女子枠が認められる日も来るかもしれない。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2021年4月9日号より抜粋

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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