入居して2年半。俳句や源氏物語を楽しんだり、水泳教室や図書館、美術館・博物館に行ったり、やってきた「青春」を謳歌中だ。今はコロナ禍で制限こそあるが「ベトナム料理を買ってきて私の部屋で皆で食べることも。学生寮みたいで楽しい」。家の名義はそのままにして娘夫婦に譲った。自分の部屋は残しているため、時々家族で集える幸せもある。

 とはいえ入居前の荷物の片付けには苦労した。入居当日は娘婿がトラックで運んでくれた。

 改めてこう振り返る。

「家じまいにはものすごい決断力とエネルギーが必要だと思いました。年とともにだんだんできなくなると思います」

 家じまい、するなら80歳前後が限界かもしれない。

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年4月9日号より抜粋